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とすねっと・きらきら星ねっとの共同声明

本日(5月17日)付けの朝日新聞朝刊1面記事(東京本社最終版)で、原発事故の区域外避難者に対する避難用住宅(災害救助法上の応急仮設住宅)の無償提供を2017年3月で打ち切るという報道がありました。これに関し、東京災害支援ネット(とすねっと)は、きらきら星ネットと共同で、打ち切りに反対する共同声明を発表します。
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原発事故の区域外避難者に対する避難用住宅の無償提供の打ち切りの報道に際し、打ち切りに反対する共同声明

2015(平成27)年5月17日

東京災害支援ネット(とすねっと)
代  表    森 川    清
(事務局)〒170-0003東京都豊島区駒込1-43-14 SK90ビル302 森川清法律事務所内
TEL 080-4322-2018  FAX 03-6913-4651

きらきら星ネット
代  表    岩 田  鐵 夫
(事務局)〒160-0004 東京都新宿区四谷三丁目2番地2 TRビル7階
TEL 080-3553-9090  FAX 03-3598-0445

東京災害支援ネット(とすねっと)は、東日本大震災・福島原発事故の被害者らの支援を行っている弁護士・司法書士・市民らによる団体であり、きらきら星ネットは、東日本大震災・福島原発事故の被害者らの支援を行っているボランティア団体である。両団体は、共同で、以下のとおり、共同で声明を発表する。


5月17日付けの朝日新聞朝刊は、福島原発事故で政府による避難等の指示等があった区域以外の地域から避難している「区域外避難者」について、福島県が避難先の住宅(災害救助法に基づく応急仮設住宅(公営住宅等を利用した「みなし応急仮設住宅」を含む。)を指すものと思われる。)の無償提供を2016年度(2017年3月末)で終える方針を固めたと報じている。報道の真偽は不明であるが、事実とすれば、区域外避難者を含めた原発事故避難者の多くが望んでいる「長期・無償」の避難用住宅提供の希望を打ち砕こうとするものであり、決して認めることはできないものである。わたしたちは、区域外避難者に対する災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供の打ち切りに対し、断固反対する。

福島原発事故の区域外避難者は正式な統計はないものの、朝日新聞の上記報道では3万6000人とされている。いわき市、郡山市、福島市などからの避難者が多い。福島県からの県外避難者4万6000人余り(復興庁発表、2015年4月16日現在)の多くは、みなし応急仮設住宅に住む区域外避難者である。

4年前に起きた福島原発事故で放出された放射能は避難区域の外にも広がっており、除染をしても原状に回復していないことは明らかである。原発事故自体、溶融した核燃料の所在も不明で、汚染水は漏れ続け、二次災害のおそれも払拭されておらず、いまだ収束からは程遠い状況である。こうした中で、2014年夏に東京災害支援ネット(とすねっと)が実施した「原発事故による避難世帯の生活実態調査」(以下、「2014年実態調査」という。)によれば、避難者のうち、避難元への帰還を予定している世帯は、全体の3割にも満たない(28%)。放射能汚染による追加被ばくの危険を可能なかぎり避けるため、一日でも長く避難を続けたいという避難者の意向は、避難区域の内外を問わず、「予防原則」の考え方に基づいて尊重されるべきである。

区域外避難者は、生計維持者が避難元等に残り、母子のみが避難する「二重生活」の世帯が多く、区域外避難者の家計は苦しい。2014年実態調査によれば、生活費が増加した世帯の増加額は平均で約8万円に上る。このため、みなし応急仮設住宅では、4分の3以上の避難者が、無償提供の延長を求めている。

こうした避難者の現状に鑑み、日本弁護士連合会は、2014年7月17日付けで「原発事故避難者への仮設住宅等の供与に関する新たな立法措置等を求める意見書」を発表し、国に対し、「避難者に対する住宅供与期間を相当長期化させる」「有償の住宅への移転又は切替えのあっせんを積極的に行わない」こと等を求め、原発事故の避難者向けに「長期・無償」の住宅支援の新規立法を制するよう呼びかけている。東京災害支援ネット(とすねっと)も、これまで、国や福島県に対し、繰り返し、日弁連意見書と同様の意見を述べてきた。

最近では、福島原発事故のため、首都圏のみなし応急仮設住宅に避難している避難世帯のグループである「ひなん生活をまもる会」と、同じように京都に避難している避難者と支援者のグループである「うつくしま☆ふくしまin京都」、そして、埼玉県の避難者支援団体である「震災支援ネットワーク埼玉」の3団体は、昨年11月以来、区域外避難者も含めた全ての原発事故避難者に対し、みなし仮設住宅等の避難者向けの住宅を無償で長期間提供すること等を確約・実行することを求め、上記の署名活動を行った。この結果、4万4978筆の署名が集まり、5月13日には安倍晋三内閣総理大臣あてに、同月15日には内堀雅雄・福島県知事あてに提出された。この署名は、すべて手書きのものである。4万5千の署名の声は、安倍総理も内堀知事も無視できないはずだ。

しかしながら、朝日新聞の報道によれば、原発事故の避難者について、現在2016年3月末となっている避難先での住宅(応急仮設住宅)の無償提供の期限を1年だけ延長するものの、区域外避難者については2017年3月末で無償提供を打ち切る方針とのことだ。福島県は「故郷への帰還を促したい考え」とのことで、「反応を見極めた上で、5月末にも表明する。」のだという。これが事実とすれば、2014年実態調査における避難者の意向、日弁連意見書の内容や、避難者団体などが行った署名の結果を、すべて無視した政策判断というほかない。

朝日新聞の報道によれば、背景として、自治体の一部には「無償提供を続ける限り、帰還が進まない」という意見があるとしている。これが事実とすれば、避難者に対して帰還を事実上強制しようとするものである。県幹部は「避難生活が長期化することで、復興の遅れにつながりかねない。」と言っているというが、避難家族を犠牲にしてまで強行しようとする「復興」とは何なのか。災害救助法は、都道府県知事に対し、救助の万全を期するよう定めているが、福島原発事故がいまだ収束しない状況の中では、避難用住宅の提供の打ち切りは救助に万全を期したことにはならないので、災害救助法の規定にも反する。区域外避難者に対する住宅の無償提供の打切りは、反人道的な「強制帰還政策」であると言わざるをえない。

報道によれば、災害救助法について福島県知事を行政指導しうる立場にある国は、「国も早く終了を決めて欲しいと言ってきている」という。しかし、国には、原発の立地・稼働を推進して、その安全を怠り、原発事故を引き起こした責任があるはずだ。責任を放棄して、原発事故の被害者を帰還させるのは、加害責任から目をそらした被害者無視の行為であると言わざるをえない。

打切りの動きと並行して、すでに有料の公営住宅への転居などをすすめる有償化の動きも始まっている。全国の避難者や支援者は、こうした動きに動揺しないでほしい。そして、どのような決定がなされようとも、全国の避難者や支援者が力を合わせて、国と福島県に対して、避難区域の内外を問わず、長期・無償の住宅提供を確約・実行するよう強く求め続けなければならない。

改めて表明する。わたしたちは、区域外避難者に対する災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供の打ち切りに対し、断固反対する。そして、打ち切りの動きに対しては、全国の避難者・支援者の皆さんとともに、妥協することなく闘っていくつもりである。がんばりましょう!

以上
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by fukushimakyoto | 2015-05-18 00:00 | 避難用住宅問題 | Trackback | Comments(0)

福島原発事故、東日本大震災により京都に避難してきている避難者と支援者でつくっている「うつくしま☆ふくしまin京都」のブログです


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