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福島県が『新たな支援策』の詳細を発表(2015.12.25)しました!

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「うつくしま☆ふくしまin京都」事務局の奥森です。

福島県は2015年12月25日(金)午後、「福島県議会12月議会の修了を待って」いたかのようなタイミングで、「新たな支援策」(主要施策概要など)を公表しました。民間賃貸家賃補助に関する「収入要件の考え方」も示されています。

まず、「支援策」の内容です。

区域外避難者への支援内容については、いくつか前進面がありますが、あくまで部分的なものにすぎません。「支援策」の骨格は、これまでどおりです。つまり、「民間賃貸住宅家賃への補助」(収入基準あり、2年程度の一部補助)と「住宅確保等の取り組み」です。

詳しく見てみましょう。

民間賃貸住宅家賃補助については、

1)対象は、収入用件を満たす世帯で、見なし仮設住宅打ち切り後に「民間賃貸住宅」で避難生活を継続することが必要な世帯となっています。

*収入基準は、「公営住宅の収入要件」に準じた内容とされました。添付の収入基準の考え方に詳しく書かれています。単純に「年収●●●万円以下」ではありませんので、ご注意ください。

*母子避難世帯については、世帯の全所得を1/2にした額を所得額として扱うことになりました。「原発事故子ども被災者支援法」による公営住宅優先入居の収入基準の考え方を踏襲しているようです。
  
2)家賃補助額について
 1年目は家賃の1/2で上限3万円 を補助
 2年目は家賃の1/3で上限2万円 を補助。
 
*交渉のなかでも、「なぜ2年間なのか?」については、合理的な説明はありません。福島県は、打ち切り後2年で「自立していただく」という姿勢です。
「1年目上限3万円、2年目上限2万円で終わりでは、生活していけない」との避難者の訴えも、切り捨てられています。

3)敷金・礼金など「住宅確保のための初期費用」として定額10万円を補助。

*これは、この間の交渉のなかでも追及してきた内容が盛り込まれています。しかし、定額10万円では僅かな補助に過ぎず、これでは新たな住居を確保することは困難です。きわめて不十分な内容です。
  
4)この「支援策」は2017(平成29)年4月から2年間の実施となるが、「補助の開始期間を前倒しして、補助の対象期間を延長することを検討」すると明記されました。

*これも、見なし仮設住宅打ち切り後に民間賃貸家賃補助を実施するのであれば、家賃補助を受けて新たな住宅に移ることはできない、「制度設計の不備である」と交渉の中で追及していたものです。見なし仮設住宅打ち切り前に「民間賃貸家賃補助」が実施されるのはほぼ確定です。
  

2 住宅確保の取り組み

*これについては、これまで同様、あくまで「公営住宅への優先入居」が柱であり、無償提供から有償提供に転換するものです。東日本では、雇用促進住宅について新たに募集することが示されました。


2 評価
 
 今回福島県が公表した「支援策」は、災害救助法に基づき実施されてきた「避難用住宅の無償提供」の水準から考えると、あまりにもお粗末な内容です。

 無償提供を一方的に打ち切り、僅かな補助を一部世帯にのみ実施するだけの「支援策」は、原発を推進してきた福島県の責任を果たすことにはなりません。
 
 無償提供から有償化に転換することは、避難者のいのちと避難生活を脅かすものです。多量の放射性物質が今なお存在している地域へ帰還を強要=被曝を強要し、生存権を脅かすものです。
 
 今回発表された支援策は、最終確定したものではありません、支援策は県の予算を伴うものなので、県議会での議決が必要です。実際の実施までには、まだまだ時間があります。
 
 来年1月に福島県が実施を予定している「住宅についての意向調査」の結果を「支援策」に反映させていくことなど、まだまだやれることはたくさんあります。
 
 私達は、避難しているみなさんとともに、「一人も路頭に迷わせない」を合い言葉に、あきらめずに粘り強く最後まで取り組んでいきます。

 ともに、がんばりましょう。

 不明な点がありましたら、ご質問ください。わかる範囲でお答えします。


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by fukushimakyoto | 2015-12-25 23:59 | 避難用住宅問題