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【報告】避難住宅延長問題・2016年8月19日京都府交渉のまとめ

 うつくしま☆ふくしまin京都事務局の上野と申します。8月19日に京都府と避難用住宅打ち切り問題について話し合いを持ちました。以下、その報告です。

 今回の話し合いは1時間という制限を条件に設定されました。京都府側は原子力防災課の渡部副課長以下4名、うつくしま側は避難者5名(+子ども3名)、支援者8名(+子ども3名)が出席しました。
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 最初に、奥森代表が「原発事故避難者の住まいの安定に関する要請書」を読み上げたあと、すでに内閣府と福島県に提出済みの「避難用住宅の提供打ち切り撤回と避難用住宅の長期無償提供を求める署名」64041筆の内の京都集約分3366筆分の写しを手渡しました。
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 今回の要請書の特徴は、避難用住宅の無償提供の延長を求めつつも、このままの状態で来年3月になれば路頭に迷う人が出てくることから、全国における先進的な事例を紹介しながら、こういうケースにはこういう対応ができるのではないかというメニューを提示しています。

 話し合いは、要請書の各項目について京都府側が回答し、うつくしま側が質問や意見を言い、それに京都府側が答えるという形で進みました。個々の事項に対する回答は、下記および添付のまとめを見ていただきたいと思いますが、要請した事項に誠実に対応することで、路頭に迷う人は出なくなるということを強調しました。

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 できる見込みのないことを要請しているのではなく、他の自治体が決めたことや京都府がこれまでやってきたことを基にしているので、京都府側も無下には拒否できない感じで、今回の申し入れについて他の自治体での取り組みを参考にして検討すること、一定の結論を秋口には出したいという回答を得ました。

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 そのあと府政記者室で、記者会見を行ない、避難者が置かれている現状と京都府に独自の取り組みを要請したことを説明しました。8月20日の朝刊には、京都新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞がそれなりのスペースを割いて取り上げてくれました。朝日新聞だけは1行のベタ記事でした。

【京都府との話し合いまとめ】
日 時 2016年8月19日
場 所 京都府庁1号館5階
出席者 〈京都府〉原子力防災課…渡部副課長、藤井、住宅課…瓦谷、平尾
   〈うつくしま〉奥森代表、(避難者)福島、萩原、高木、河本、太田+子ども3人、(支援者)池村、上野、佐藤、中条、寺本、中田、森垣+子ども3人

  *以下、◆は京都府を指す。◇はうつくしま☆ふくしまin京都を指す。

1.原発事故被災者・避難者に対する生活、住宅、就労、健診、医療等の総合的な支援策の実施を国に要望していただくこと。
 ◆…これまでも、全国知事会を通じて毎年提言や要望をしている。

2.みなし仮設住宅の長期無償延長を国と福島県に要請していただくこと。
 ◆…昨年、福島県の要請を受けて、入居から6年間とさせていただいた。福島県としては早期に帰ってきてほしいと思っている。京都に居住したいと希望する方については、検討していかなければならないと考えている。いま個別訪問を行なっているので、その中で個々の意向を把握していきたい。

3.岩手県、宮城県、福島県が一部地域について仮設住宅、みなし仮設住宅の無償提供期間を1年間延長したことを受けて、京都府の独自施策として、現在、みなし仮設住宅に入居しているすべての世帯の入居を1年間延長していただくこと。
 ◆…3県からの要請が来ている地域の方については延長になる予定。それ以外の方については難しい。
 ◇…先日、福島県交渉に行った時に、福島県の担当者は「京都は入居から6年という独自の措置をしているが、来年3月以降の予算の捻出については京都府と話し合う機会があると言っていた。
 ◆…そうですか。福島県が予算措置をしてくれれば助かりますけどね。

4.現在、みなし仮設住宅に入居している避難者で、避難元(福島県外を含む)に住宅がない場合や罹災証明書の交付を受けている場合で、現在居住している府営住宅に住み続けたいとの希望がある避難者については「特定入居」の取り扱いとしていただくこと。また、現在はみなし仮設住宅には入居していない世帯についても、避難元に住居がない場合や罹災証明書の交付を受けている場合は、「特定入居」として府営住宅への入居を認めていただくこと。家賃については、減免措置を講じていただくこと。(福島県から避難先自治体に対して要望している。奈良県では特定入居をすでに実施している。大阪市でも実施予定。)
 ◆…公営住宅法で「特定入居」できる場合が限定されている。今回当てはまるのが「災害」要件で、津波等で家が全壊した場合などはOKだが、原子力災害については避難指示区域のみ適用(それ以外はできない)という国からの指示がある。罹災証明にも程度がいろいろあって、罹災証明を受けているから「特定入居」に該当するというわけにはいかない。
 ◇…福島県は「特定入居」として扱ってくれるよう避難先自治体に要望していると言っていた。
 ◆…それに対しては、国と調整をしてほしい。文書で根拠を示してほしいと返している。
 ◇…国からの指示というのは何か文書があるのか?
 ◆…支援法の運用に関するQ&Aの中に書いてある。

5.原発事故子ども避難者支援法に基づく府営住宅の「優先入居」については、希望する避難者が全て入居できる戸数を希望する地域に確保していただくこと。「支援対象地域」(福島県浜通り、中通り)以外からの避難者(福島県外を含む)につおても、「優先入居」の対象としていただくこと。家賃については、減免措置を講じていただくこと。
 ◆…優先入居については可能な限り、戸数を確保したいと考えているが、必ずしも期待に沿えるかどうか。数に限りがあるので、一度に提供するのは難しい。京都府では、浜通り、中通りに加えて会津地方まで含めている。減免については減免要綱に従って個別に判断することになる。

6.府営住宅に入居している避難者が「優先入居」に応募しているにもかかわらず当選しないため、みなし仮設住宅の提供終了までに住居移転が完了しない場合は、「優先入居」に当選するまでの間、現住居への入居を認めていただくこと。
 ◆…期限後まで認めるのは難しい。
 ◇…じゃあ、行くところのない人を追い出すのか?
 ◆…そうならないよう、優先入居に応募してほしい。
 ◇…小栗栖府営住宅で優先入居の募集をしているが、もともと小栗栖に住んでいる人は少なく、他所から引っ越せば子どもが学校を変わらないといけなくなるので応募する人は少ないと思う。できるだけ住んでいるところに近いところで募集がないと難しい。

7.府営住宅に入居している避難者が「優先入居」に当選した場合で、現在住んでいる府営住宅への継続入居を希望する場合は、現在住んでいる住宅へ振り替えることができる制度を導入していただくこと。(埼玉で実施)
 ◆…埼玉にも問い合わせたが、振り替えの根拠がはっきりしていない。

8.国家公務員借り上げ住宅(桃山東合同庁舎)に入居している避難者について、府営住宅の「優先入居」に当選するまでの間、借り上げを続けていただくこと。また、借り上げの延長が困難な場合でも、「優先入居」に当選しないなどのやむを得ない事情がある場合は、入居全世帯について、最終入居者の期限(現時点では2018年12月末)までの入居を認めていただくこと。借り上げ住宅の打ち切りまでに移転できない世帯がある場合には、代替住宅を提供していただき、避難者が路頭に迷うことがないようにしていただくこと。
 ◆…2018年12月まで貸してほしいと伝えている。

9.京都府職員住宅や教職員住宅に入居している避難者について、近隣に公営住宅がない場合や「優先入居」枠が設定されていない等、やむを得ない事情で移転することが困難な場合は、引き続き入居を認めていただくこと。無償提供が困難な場合は、府営住宅の基準で家賃を設定するとともに、所得による減免措置を実施していただくこと。
 ◆…職員住宅や教職員住宅は今日来てもらっている住宅課とは所管が違うので、こういう申し出があることは伝える。

10.みなし仮設住宅からの移転に際して、京都府の独自支援策として引っ越し費用を支給していただくこと。(秋田県、新潟県で実施)
 ◆…他府県の例も参考にして、検討してみたい。

11.福島県の支援策(民間賃貸住宅家賃補助)について、京都府独自に上積み支援をしていただくとともに、福島県の収入要件で非該当になった世帯に対して、京都府独自に家賃補助を実施していただくこと。(新潟県で上積み補助を実施)
 ◆…他の京都府民との均衡の観点から難しい。また、福島県がすでに収入要件を緩和し対象者を広げた。

12.上記4、5、7、8、9で居住の継続が認められた場合、必要最低限の住宅の修繕を行なっていただくこと。
 ◆…4~9の項目を認めるのは難しいので、この申し入れに応えるのも難しい。

13.京都府の住宅支援情報だけでなく、京都市の住宅支援情報も府内避難者に提供していただくこと。
 ◆…京都市は市内在住要件を付けていたので、市内在住者にしか情報を届けていなかったが、今後は調整していきたい。

14.京都市でも同様の取り扱いをしていただけるよう協議していただくこと。
 ◆…調整していきたい。

それ以外のやり取り
 ◇…京都府はこれまで茨城県が打ち切りを決めても福島県と同じ扱いをしてきた。それなら、今回も一部は1年間延長するわけだから、それ以外も一緒に延長することはできないのか。
 ◆…それも含めて検討していく。
 ◇…早い人は来年3月、4月に期限が来る。いつ頃までに結論を出すのか。年内か?
 ◆…年内では遅いだろう。秋口までには一定の結論を出したい。
 ◇…よろしくお願いします。
by fukushimakyoto | 2016-08-25 16:32 | 対政府・自治体要請