【報告】原発事故による低線量被爆の健康影響を考える いのちと避難生活をまもる第5回京都公聴会

 みなさま 事務局の上野と申します。 遅くなりましたが、4月24日に開催した「原発事故による低線量被ばくの健康被害を考える いのちと避難生活をまもる第5回京都公聴会」(ハートピア京都)の報告です。参加者は約80名でした。

◎井戸弁護士の話
 最初に、井戸謙一弁護士が「司法から福島原発事故・低線量被ばくを考える」と題して講演。
 年20mSv基準が適用される福島の住民は、年1mSvを超える線量が確認された公園への立ち入りが禁止される福島以外の国民とは違う法律を適用されている。福島県内では放射線管理区域(平米当たり4万ベクレル)以上の土壌汚染があちこちにある。
 2月18日の京都個別避難者訴訟判決は、賠償額や就労不能損害の期間では成果もあるが、自主避難の合理性を2012年8月までしか認めなかった。その理由として、政府のワーキンググループ(WG)報告書が年20mSv以下では健康被害のリスクがないとしたことを挙げる。 私は、〝放射線被ばくのリスクはわからないから、不安を抱くことは合理的だ〟と裁判所に認識させればいいと考えていた。
 WG報告書は、国際的に「累積100mSv以下の被ばく線量」について言われていることを「年に100mSv以下」にすり替えている。国は年20mSvを避難基準にしているが、年20mSvの環境で5年余り生活すれば累積100mSvに達する。最後に井戸弁護士は、国は情報を隠ぺいし、被害者に声を上げさせないなど、過去の公害事件で繰り返されたのと同じことが展開されている。被害者が声を上げることができる環境をどう作っていくのかが課題だと強調されました。

◎避難者の方の話
 次に、関東のホットスポット、千葉県松戸市から大阪市に避難しているTさんと福島県浪江町から兵庫県に避難しているKさん(お二人とも関西訴訟原告)に話をして頂きました。
 Tさんは、事故直後から子どもたちが鼻血を出したり疲れ易くなる中で、避難することを決め、はじめはいやがっていた子どもたちを説得したこと、マンションの花壇の土を測ったところ84万ベクレル/㎡あったことなどを話し、子どもたち(姉と弟)の書いた手記を紹介されました。 子どもたちは大阪に引っ越した直後は仲間はずれにされたり、いじめに遭い、お母さんを恨んだこともあったが、「今では楽しく生活できるのはお母さんのお蔭です」(姉)、「まだ汚染地域に住んでいる友だちのことが心配です。避難して欲しい」(弟)と綴っていました。
 Tさんは最後に、甲状腺のリスクは同じなのに、首都圏の子どもたちには何の施策もないとして、希望するすべての人に放射能健診を求める署名への協力を呼びかけられました。

 つい最近甲状腺がんの手術をされたKさんは、全町避難となった浪江町から郡山市へ避難しスクリーニング検査を受けた際に野外で3時間並び、降ってきた雨に濡れた。10万cpmのガイガーカウンターが振り切れた。
 仮設住宅にいる間、口内炎みたいになり、それは栄養状態が悪いからだと思っていたが、阪神大震災の時の仮設では口内炎は出なかったと聞き、やはり放射線の影響ではないかと思っている。昨年2月に福島でのう胞が見つかったが、「大人の女性はみんな持っているから心配ない」と言われた。昨年5月に仮設を出て関西へ来て、健診を受ける機会があり、そこで甲状腺がんが見つかり手術を受けた。
 最後にKさんは、健康被害はいま始まったばかり。これから始まる恐ろしさを見つめ続けて下さい、と訴えられました。

◎飛田晋秀さんの話
 最後は、三春町の写真家で、最近発足した「3・11甲状腺がん家族の会」の副代表に就任された飛田晋秀さんが講演。
 たまたま知り合った人が甲状腺がんの手術を2回した娘さんのお父さんだった。いろいろ話を聞き、ほかの患者の家族の方と交流できないかと考え始めていたところ、あるTV局のディレクターの紹介で別の甲状腺がん患者の家族に会うことができ、家族同士の出会いの場を持った。それまで家族だけで悩み、孤立していた参加者からは「今日は来て良かった」という感想が聞けた。
 3月12日の家族の会発足の際は5組だったが、いまは10組に増えた。患者は福島にとどまらないので、会の名前に「福島」は付けなかった。大人の甲状腺がんも増えているので、子どもだけでなく、大人の患者も結集させていきたい。いま福島では心筋梗塞をはじめいろいろな病気が蔓延している。救急搬送される人も増えている。よく「風評だ」と言われるが、私は「実害だ」と言っている。
 最後に飛田さんは、カメラを持てるうちは被災者や患者さんと触れ合いながら、撮ったデータを次の世代に残していきたい、と述べられました。
[PR]

by fukushimakyoto | 2016-05-07 23:19 | 公聴会 | Trackback | Comments(0)

週刊MDSから 「いのちと避難生活をまもる第4回京都公聴会」の報告記事です。

いのちと避難生活をまもる第4回京都公聴会
政府・福島県は帰還政策の撤回を これ以上被ばくさせないで
 

 週刊MDS 1402号 2015年11月06日発行から

 10月25日に開かれた「いのちと避難生活をまもる第4回京都公聴会」は、国と福島県が進める帰還強要と避難者切り捨て政策を厳しく批判。不安と苦悩のどん底にいる避難者を支える支援者の輪を大きく広げることを呼びかけた。

 帰還政策を強引に進める福島県は、県外避難者に対する避難用住宅の提供を2017年3月で打ち切ることを決めた。

 ●声を上げ続ける
 公聴会では、避難者が現在の心境とあきらめずに声を出し続ける決意を語った。原発賠償関西訴訟原告の森松明希子さん、京都原告団の齋藤夕香さん、小林雅子さん、宇野朗子(さえこ)さん、高木久美子さんの5人だ。

 森松さんは、今年の春に安倍首相と福島県知事あてに出した手紙を再び読んだ。「被ばくしたくない、将来のある子どもの健康を守りたい、は親として当然の心理。声なき声、生活者の声を聞かないのは為政者としては致命的なことです」。今も思いは同じだという森松さんは「命と健康を守る行為こそ原則的な行為をしているのだ」の声を上げ続けると訴えた。

 福島県内の異常な実態も浮き彫りになった。 10月10日に浜通りを通る国道6号線の清掃ボランティアが中高生を動員して実施された。66団体が反対声明を出したが、地元紙は無視。美談だけを報道した。

 「怒りでいっぱいで、福島の友人にも電話したが、友人は『もう疲れてしまった。声が伝わらない』の返事だった」(高木さん)。

 「今日の地元新聞を見て、『なんじゃ、こりゃ!』と叫んだ。南相馬の医者が『放射能は次世代に影響なし』と書いているのだ。安全キャンペーンは本当にすごい。絶対に許せない」(小林さん)。

 福島県庁に出向いた交渉でも、県は無償提供延長を拒んだ。「県は味方だと思っていたのにショックだった。私たちが避難できたのは無償の住宅があったから。無償提供は県内に残る人のためにも必要。打ち切り撤回へ知恵を借りたい」(高木さん)。

 10月29日には「避難の権利」を求める全国避難者の会が設立される。宇野さんは「私たちは<被ばくか貧困か>の選択を強いられることを望まない。当事者がつながって、声なき声を形にしましょう」と呼びかけた。

●避難者に安定した住宅を
 公聴会は、避難者の訴えに先立ち、政府の帰還政策の批判と低線量・内部被ばくの危険性を明確にした。

 子ども脱被ばく裁判など数多くの原発裁判に関わる井戸謙一弁護士は「住宅無償提供打ち切り、子ども被災者支援法基本方針で『避難する状況にはない』との明記など、2020年のオリンピックまでに、帰還困難区域を除いて元通りにすることを、国・県は行おうとしている」と指摘。「調べない、声を上げさせない、情報を隠ぺいする等は、過去の公害事件でも繰り返されてきたこと。声を上げないと被害はなかったことにされてしまう」と述べた。

 高松勇さん(医療問題研究会、小児科医)は「甲状腺がんは桁違いの多発であり、もはや揺るがない事実。死産や新生児死亡、急性心疾患での死亡の増加など多様な健康障害が起きている」として「被ばく軽減策としての避難、保養、食の安全が必要。今も福島は避難が必要な地域であり、帰還政策は撤回されるべき」と結論づけた。

 公聴会はうつくしま☆ふくしまin京都、原発賠償訴訟京都原告団を支援する会、放射能健康診断100万人署名運動推進京都実行委員会の共催で開かれた。

 主催者を代表して奥森祥陽さんは「『一人も路頭に迷わせない』を合言葉に、絶対に譲らずに取り組む」と決意を述べ、今後の方針を提起した。

◆「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の2017年3月末解除方針の撤回を求める。
◆「避難用住宅の提供打ち切り撤回と避難用住宅の長期無償提供を求める署名」「避難先にとどまる原発事故避難者の住まいの安定を求める署名」を大きく広げる。復興庁・内閣府・福島県交渉、院内集会に取り組む。
◆要望書を確立して、政府・福島県・避難先自治体への要請行動を行う。
[PR]

by fukushimakyoto | 2015-11-06 00:00 | 報道関連 | Trackback | Comments(0)