2011年 12月 13日
原子力損害賠償紛争審査会の中間指針追補について
原子力損害賠償紛争審査会の中間指針追補について
2011.12.13 うつくしま☆ふくしまin京都事務局長 奧森
1 原子力損害賠償紛争審査会(原陪審)をめぐる動きについて
(1)原陪審・中間指針追補の内容について
原陪審は12月6日、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害賠償の囲の判定などに関する中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)」(平成23年12月6日)を決定した。中間指針追補に盛り込まれた区域外避難者(いわゆる自主避難者)等に対する賠償内容は以下のとおりである。
<基本的考え方>
○ 中間指針追補の対象者
・ 事故発生当初の十分な情報がない時期は、大量の放射性物質の放出による被ばくへの恐怖・不安を抱くことは、年齢等問わず一定の合理性が認められる。
・ 事故発生からしばらく経過後は、放射線量等に関する情報がある程度入手できるようになった状況下にあり、少なくとも子供・妊婦の場合は、放射線への感受性が高い可能性があることが一般に認識されていることから、被ばくへの恐怖・不安を抱くことは、一定の合理性が認められる。
・ 上記恐怖・不安による自主的避難のみならず、自主的避難を行わずに滞在し続けた者にも賠償すべき損害が認められる。
○ なお、本中間指針追補の対象以外の損害についても、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のる損害と認められることがあり得る。
<対象地域> 原発から50キロの円が一部でもかかる市町村(避難指示等対象地域を除く)
・ 県北地域 福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村
県中地域 郡山市、須賀川市、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町
いわき地域 いわき市
*県南地域と会津地方は対象外。福島県外も。
<賠償額>
○ 自主的避難者及び滞在者の損害について、精神的損害と生活費増などを一括して一定額を算定し、同額とすることが公平かつ合理的。
○ 具体的には、事故発生時に自主的避難者等対象区域内に住居があった者の損害は以下を目安とする。
対象区域内に居住していた子供・妊婦 40万円 (事故発生から本年12月までの損害)
〃 上記以外の者 8万円 (事故発生当初の時期の損害)
(2)中間指針追補の評価
・ 賠償額としては非常に低額な一律一括賠償という不当なものであり、断じて容認できない。しかも、対象地域から県南地域、会津地方、福島県外を除外しておりこの点も認められない内容である。
・ 評価できる点は、1)「被ばくの恐怖・不安を抱くことは、一定の合理性」があると認めたこと 2)区域外避難者のみならず、「滞在し続けた者にも賠償すべき」損害を認めたこと 3)追補の対象以外の損害につい
ても、「個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る」とし、個別の損害賠償を排除しなかったこと
・ 枝野幸男経産相は7日、参院決算委員会で公明党の加藤修一議員の質問に対して、「具体的に生じている出費は当然対象になる」と答弁している。避難で発生した実費や避難の影響による賃金減少などについても、「実際に損害が生じている場合は、当然損害賠償の範囲になる」と明言している。今後の個別損害賠償請求に活かしていく。
(3)今後の方針
・ 原陪審に対する抗議、東京電力に対する完全賠償の声を集中する。
・ 中間指針追補の賠償額自体は容認できるものではないが、夫婦子ども2人の4人世帯で96万円の賠償額がとりあえず認められたことを活かし、年末・年度末にむけた避難の拡大を呼びかけていく。
・ 各地で原発賠償説明会&相談会を開催し、個別具体的な事情に応じた損害賠償額を算定し、「原子力損害賠償紛争解決センター」(原発ADR)への仲介申立を大量に組織化する。あわせて、福島県(郡山市)、東京にしかない原発ADRを各地に開設させる。
→12/17京都伏見会場、12/23宇治会場(いずれの会場にも大阪の弁護士5名参加、京都の弁護士にも要請中)
参考 阪神地域 西宮市12/18年越しまつりに弁護士3名参加
・ 訴訟も視野に入れた取り組みをすすめていく。「訴訟も辞さず」との意志を表明している避難者が出てきているので、提訴にむけた動きを具体化していく。
2011.12.13 うつくしま☆ふくしまin京都事務局長 奧森
1 原子力損害賠償紛争審査会(原陪審)をめぐる動きについて
(1)原陪審・中間指針追補の内容について
原陪審は12月6日、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害賠償の囲の判定などに関する中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)」(平成23年12月6日)を決定した。中間指針追補に盛り込まれた区域外避難者(いわゆる自主避難者)等に対する賠償内容は以下のとおりである。
<基本的考え方>
○ 中間指針追補の対象者
・ 事故発生当初の十分な情報がない時期は、大量の放射性物質の放出による被ばくへの恐怖・不安を抱くことは、年齢等問わず一定の合理性が認められる。
・ 事故発生からしばらく経過後は、放射線量等に関する情報がある程度入手できるようになった状況下にあり、少なくとも子供・妊婦の場合は、放射線への感受性が高い可能性があることが一般に認識されていることから、被ばくへの恐怖・不安を抱くことは、一定の合理性が認められる。
・ 上記恐怖・不安による自主的避難のみならず、自主的避難を行わずに滞在し続けた者にも賠償すべき損害が認められる。
○ なお、本中間指針追補の対象以外の損害についても、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のる損害と認められることがあり得る。
<対象地域> 原発から50キロの円が一部でもかかる市町村(避難指示等対象地域を除く)
・ 県北地域 福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村
県中地域 郡山市、須賀川市、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町
いわき地域 いわき市
*県南地域と会津地方は対象外。福島県外も。
<賠償額>
○ 自主的避難者及び滞在者の損害について、精神的損害と生活費増などを一括して一定額を算定し、同額とすることが公平かつ合理的。
○ 具体的には、事故発生時に自主的避難者等対象区域内に住居があった者の損害は以下を目安とする。
対象区域内に居住していた子供・妊婦 40万円 (事故発生から本年12月までの損害)
〃 上記以外の者 8万円 (事故発生当初の時期の損害)
(2)中間指針追補の評価
・ 賠償額としては非常に低額な一律一括賠償という不当なものであり、断じて容認できない。しかも、対象地域から県南地域、会津地方、福島県外を除外しておりこの点も認められない内容である。
・ 評価できる点は、1)「被ばくの恐怖・不安を抱くことは、一定の合理性」があると認めたこと 2)区域外避難者のみならず、「滞在し続けた者にも賠償すべき」損害を認めたこと 3)追補の対象以外の損害につい
ても、「個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る」とし、個別の損害賠償を排除しなかったこと
・ 枝野幸男経産相は7日、参院決算委員会で公明党の加藤修一議員の質問に対して、「具体的に生じている出費は当然対象になる」と答弁している。避難で発生した実費や避難の影響による賃金減少などについても、「実際に損害が生じている場合は、当然損害賠償の範囲になる」と明言している。今後の個別損害賠償請求に活かしていく。
(3)今後の方針
・ 原陪審に対する抗議、東京電力に対する完全賠償の声を集中する。
・ 中間指針追補の賠償額自体は容認できるものではないが、夫婦子ども2人の4人世帯で96万円の賠償額がとりあえず認められたことを活かし、年末・年度末にむけた避難の拡大を呼びかけていく。
・ 各地で原発賠償説明会&相談会を開催し、個別具体的な事情に応じた損害賠償額を算定し、「原子力損害賠償紛争解決センター」(原発ADR)への仲介申立を大量に組織化する。あわせて、福島県(郡山市)、東京にしかない原発ADRを各地に開設させる。
→12/17京都伏見会場、12/23宇治会場(いずれの会場にも大阪の弁護士5名参加、京都の弁護士にも要請中)
参考 阪神地域 西宮市12/18年越しまつりに弁護士3名参加
・ 訴訟も視野に入れた取り組みをすすめていく。「訴訟も辞さず」との意志を表明している避難者が出てきているので、提訴にむけた動きを具体化していく。
by fukushimakyoto
| 2011-12-13 23:22
| 避難する権利と賠償問題