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京都新聞の記事から 「原発賠償に憤り、不安 東日本大震災あす10ヵ月」

京都新聞の記事から
私たちが主催した「原発賠償説明会&相談会」の様子が紹介されています。

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原発賠償に憤り、不安 東日本大震災あす10ヵ月
京都新聞 2012年01月10日 09時33分

http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20120110000014


 福島第1原発事故で京都へ逃れた自主避難者が、事故に伴う政府の損害賠償方針に憤りと不安を募らせている。遠隔地への避難で仕事を失ったり、持ち家を手放した人もいるが、政府は避難の有無にかかわらず、一律の賠償額を示しただけだ。避難者の多くは「低額で経済的損失に見合わない」とし、提訴を検討する人も出てきた。11日で東日本大震災の発生から10カ月。賠償問題に揺れる避難者の姿を追った。

 福島県庁に勤めていた吉川陽子さん(38)は事故直後、子ども2人と京都市伏見区に自主避難した。避難後、市民団体などが子どもの保育園や自宅の庭の放射線量を図ると、政府が「安全」とする基準をはるかに上回っていることが分かった。「子どもの命を懸けて戻ることはできない」。有給休暇を使い切り、職を失った。

 約5千万円で新築した自宅には1年半しか住めなかった。福島にとどまる公務員の夫(38)は家族一緒の生活を望み、退職を考える。自宅の売却や貸し出しを検討するが、周囲は放射線量が高く、住み手が現れるか疑問だ。政府指針では、賠償額は一家4人の総額で100万円に満たない。「一番幸せな時期に仕事も家も失った。一律に片付けられる問題ではない」。被害に見合った賠償を求め、東京電力を相手取り提訴も考えている。

 昨年12月17日。市民団体「うつくしま☆ふくしまin京都」(宇治市)が京都市伏見区で開いた賠償問題の相談会に、自主避難者らが集まった。母子避難による二重生活でかさんだ赤字。被ばくで生じるかもしれない健康被害の医療費…。事故で被る不利益がどこまで賠償対象になり得るか質問が続いた。

 12月に京都弁護士会が開いた個別相談会では、保有するアパートの資産価値の目減り分や自宅を売却しても残る住宅ローンなど、不動産に関わる損失の相談が目立ったという。

 同弁護士会の人西智之副会長(44)は「科学的見地か政策的見地か分からないままの『安全』に不安を感じ、避難をせざるを得なかった人には、完全な賠償がされるべきだ。損害は指針の額と懸け離れて大きい」と語る。

 自主避難者の中には、賠償問題に対処する公的な機関「原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)」に和解の仲介を申し立てた人もいる。

 福島県内から京都市へ一家5人で避難した女性(37)は2カ月間、東電と電話のやりとりを続けたが、たらい回しにされた揚げ句に「賠償の対象外」と言われ、原発ADRを頼ることにした。

 飲食店経営の夫(39)は無収入になった。夫の実家の土地と建物、自家用車を売った。購入して1年のマンションはローンが20年以上残る。学資保険を解約し、貯蓄を切り崩す。女性は「東電は誠意がなく、個人の力では限界がある。約束されていた未来を保障してほしい」と和解に望みをかける。

 【原発事故に伴う賠償】 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が昨年12月に決定した指針では、福島県23市町村の住民約150万人(警戒区域や計画的避難区域は除く)に一律、妊婦と18未満の子どもは1人40万円、それ以外は8万円を支払うよう東京電力に求めた。被害者らが金額に不服がある場合、公的機関「原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)」への和解の仲介申し立てや、民事訴訟で解決を目指すことになる。
by fukushimakyoto | 2012-01-11 01:43 | 避難する権利と賠償問題