2012年 10月 06日
【報告】原発被災者支援法にもとづく具体的施策の実施を求める集い
奧森です。
9月9日に開催した「原発被災者支援法にもとづく具体的支援の実施を求める集い」の報告です。
事務局の佐藤さんや、「避難・移住・帰還の権利ネット」の小山さんの報告を参考(パクって)報告させていただきます。
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支援法という種の中に豊作の素がある。
みなさんが育てて、実らせてほしい!
わたしたち「うつくしま☆ふくしまin京都」は9月29日、「原発被災者支援法にもとづく具体的施策の実施を求める集い」を京都市内で開催しました。参加者は60名で、内避難・移住者は15名でした。
集いでは、主催者の活動報告のあと、原発被災者支援法の与党側(当時)提案者の一人、谷岡郁子参議院議員(みどりの風)から講演を受けました。その後、具合的施策に盛り込む内容と、実現していくための取り組み方針を討議しました。
まず、谷岡議員の話のポイントを紹介します。
● なぜ、支援法をつくろうとしたか?
・ 事故が起きて当初、学校(の放射線量限度)はどんなに高くても5mSv/年と文科省に要求した。しかし、発表されたのは20mSv/年。理由は、「福島の学校は全部ア ウトになる」から。政府内には「子どもを逃がすべき」との議論があったが、官邸の多数意見は「子どもを逃がさない」という選択だった。あの時子供たちを逃がすことができなかったという痛苦の思いにかられて、日本版チェルノブイリ法=支援法を絶対つくろうと決意した。
● 旧ソ連のチェルノブイリ法に学んだこと
・ 世界各地の役に立つ情報を探し、英文5000ページを読破した。その中で出会ったのが『チェルノブイリ法』。国民の声、人権に立った法律があの当時の旧ソ連にあったことが驚きだった。ちなみに、ベラルーシは福島原発事故後、放射能の専門家を日本大使に任命して、協力を申し出てくれた。ベラルーシには、優れた測定機械、放射線防護 の蓄積(例えば保養の効果など)がある。これを支援法に取り入れようと努力した。
● 支援法の内容
・ 支援法は理念法と言われるが、6月14日の参議院復興特別委員会の議事録を見てほしい。そこに意図がちゃんと書いてある。議員立法の場合、提案者の意図は法律の文章と同じくらい重い。情報を得る権利、自己決定できる権利、移住先の支援、雇用、住宅、 医療と介護、モニタリングと安全な食べ物。帰還した人への支援など、重要なことを盛り込むことができた。今は、予算をとるため、各省庁の官僚を呼び出して、勉強会を開いている。
● 当面の課題
・ 医療カルテ、データを5年で破棄させないこと。福島の検診データを破棄させない。
・ 高速料金の無償化を行うこと。子どもの保養、家族の面会にも重要である。
・ 避難者、被災者の声を集め、実態を把握することがまず必要。官僚は都道府県に、都道府県はその下の自治体に、自治体は役所だけで話しを済ます。これではだめ。
・ モニタリングの強化。
・ 大企業に保養キャンプ、保養休暇のための施設提供を求めるなど。国もバス代、ボランティアの人件費くらい出してもよい。
質疑から
● 特に男性は、仕事を転職できず、転職しても年収が下がる場合が多いので避難できない。再就職の斡旋に加えて、一定期間の賃金補填が必要だが、そのためにどうしたらよいか?
→ 企業、企業団体への要求がもっと必要。国の影に隠れていた連中をあぶり出す市民 の運動。彼らは再稼働を求める前に、福島に何をしてくれたのか?雇用、保養の支援など、ピンポイントで攻める。消費者の企業イメージ、企業の見方を変える運動。
● 東電が国より偉そうに見えるのなぜか?
→ 電力会社の大株主が地方自治体や大銀行。電力会社の社債の利回りはいいので、金融機関はみんな持っていて、その価値が下がると困るので、再稼働を求めている。東電への融資の条件が「料金値上げと柏崎原発の再稼働」だった。
● 放射能の影響の検査、東京では自費でできたが、京都では「できません」と。医師が 放射能に関心がない。厚労省は医療機関にどんな指導をしているのか?
→ 具体的な事例を把握してほしい。少なくとも、「〇〇市の〇〇病院」とか「〇〇県から避難した〇年生」とか。うわさでは交渉できない。
甲状腺だけを強調するのもおかしい。それ以外のガンや病気、すべての子どもの血液 検査(遺伝子)も。
● 支援対象地域の問題。今の攻防戦は?
→ 5mSvは最低線。1年に1mSvずつ下げて、数年で1mSvにするのが妥当と思う。その先は攻防。認知症、自閉症の人が生活環境の激変で病気になったら、支援対象という議論はある。子どもが自然の中で遊べなくて不健康になったり、高齢者が仮設住宅で動けなくて骨密度が減ったら、これも医療補償の対象。被爆者援護法に明記された病気+生活の激変で現れた症状は支援の対象に。
集いの後半は、具体的施策を実願させるためをテーマに全体討議。
最初に避難・移住・帰還の権利ネットワークの小山さんから、9月21日の復興庁交渉の報告と避難者要求シートの集中、避難者公聴会開催について提案があった。小山さんは、「支援対象地域が5mSvとか1mSvに決まってしまうと、関東の避難者の多くが放置される」と避難者を線引を許さない視点を強調されました。
その後、避難者から発言が続きました。
● 被災地に残る大人にも、保養の権利を与えてほしい。被災地に残る家族に安全な食品を送るために、宅配便を多用する人も多い。その送料の補助を国や企業に求めたい。
● 住宅の無料入居期間があと2年。これでは先の生活の見通しが立たない。福島県が落ち着くまで、無償の住宅を提供してほしい。
● 母子避難で、私が病気になっても子どもをみないといけない。働きたいが、職探しも子どもを預ける事から。今は3時間の一時保育に預けているが、働き出したら…。
● 大人の保養がほしい。福島県から来たが、祖父母は「〇〇市は安全だから帰ってこい。孫を見たい」という。保養があったら、祖父母も利用して関西に来られる。
雇用の斡旋。また被災者が生きる気力を持てるような支援。漁師だった夫は、今補償金をもらっているが、ただもらっているだけ。生きがい(仕事)が必要。福島に戻ろう かと言う人も、避難先に生きがいがないから。
● 福島にいて鬱病になりそうだったので、子どものため、仕事も辞めて京都に来た。避難者の交流会でつながりもできたが、温度差も。子どもが思春期で心の部分が解決されていない。いじめ、保健室にいたり・・・。住宅の無償提供、母子避難者への経済的な補助も。
集いは最後に、
(1)支援法を広めていくために各地域で集いや学習会を開催していく
(2)引き続き、避難先自治体へ支援法の先取り実施を求めていく。避難者との定期的な話し合いの場を求めていく。
(3)京都での復興庁交渉、避難者公聴会の実現
(4)高校生、大人の保養プロジェクトを独自に実施していく
ことなどを確認しました。
<感想>
また、質疑の中で谷岡議員は、「支援対象地域は、5mSv/年は最低線。1年に1mSvずつ下げて、数年で1mSv/年にするのが妥当」と発言していましたが、私はこのお話に納得はしておりません。
様々な圧力や妨害があるのは理解できますが、「5mSv/年」では、非常に狭い地域しか支援の対象にならず、避難者の声に応えるものとしては不十分であるからです。
ほんとに、全国各地から運動を強め、運動ので突破しなければならないと強く感じました。
by fukushimakyoto
| 2012-10-06 07:08
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