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週刊MDSから 「いのちと避難生活をまもる第4回京都公聴会」の報告記事です。

いのちと避難生活をまもる第4回京都公聴会
政府・福島県は帰還政策の撤回を これ以上被ばくさせないで
 

 週刊MDS 1402号 2015年11月06日発行から

 10月25日に開かれた「いのちと避難生活をまもる第4回京都公聴会」は、国と福島県が進める帰還強要と避難者切り捨て政策を厳しく批判。不安と苦悩のどん底にいる避難者を支える支援者の輪を大きく広げることを呼びかけた。

 帰還政策を強引に進める福島県は、県外避難者に対する避難用住宅の提供を2017年3月で打ち切ることを決めた。

 ●声を上げ続ける
 公聴会では、避難者が現在の心境とあきらめずに声を出し続ける決意を語った。原発賠償関西訴訟原告の森松明希子さん、京都原告団の齋藤夕香さん、小林雅子さん、宇野朗子(さえこ)さん、高木久美子さんの5人だ。

 森松さんは、今年の春に安倍首相と福島県知事あてに出した手紙を再び読んだ。「被ばくしたくない、将来のある子どもの健康を守りたい、は親として当然の心理。声なき声、生活者の声を聞かないのは為政者としては致命的なことです」。今も思いは同じだという森松さんは「命と健康を守る行為こそ原則的な行為をしているのだ」の声を上げ続けると訴えた。

 福島県内の異常な実態も浮き彫りになった。 10月10日に浜通りを通る国道6号線の清掃ボランティアが中高生を動員して実施された。66団体が反対声明を出したが、地元紙は無視。美談だけを報道した。

 「怒りでいっぱいで、福島の友人にも電話したが、友人は『もう疲れてしまった。声が伝わらない』の返事だった」(高木さん)。

 「今日の地元新聞を見て、『なんじゃ、こりゃ!』と叫んだ。南相馬の医者が『放射能は次世代に影響なし』と書いているのだ。安全キャンペーンは本当にすごい。絶対に許せない」(小林さん)。

 福島県庁に出向いた交渉でも、県は無償提供延長を拒んだ。「県は味方だと思っていたのにショックだった。私たちが避難できたのは無償の住宅があったから。無償提供は県内に残る人のためにも必要。打ち切り撤回へ知恵を借りたい」(高木さん)。

 10月29日には「避難の権利」を求める全国避難者の会が設立される。宇野さんは「私たちは<被ばくか貧困か>の選択を強いられることを望まない。当事者がつながって、声なき声を形にしましょう」と呼びかけた。

●避難者に安定した住宅を
 公聴会は、避難者の訴えに先立ち、政府の帰還政策の批判と低線量・内部被ばくの危険性を明確にした。

 子ども脱被ばく裁判など数多くの原発裁判に関わる井戸謙一弁護士は「住宅無償提供打ち切り、子ども被災者支援法基本方針で『避難する状況にはない』との明記など、2020年のオリンピックまでに、帰還困難区域を除いて元通りにすることを、国・県は行おうとしている」と指摘。「調べない、声を上げさせない、情報を隠ぺいする等は、過去の公害事件でも繰り返されてきたこと。声を上げないと被害はなかったことにされてしまう」と述べた。

 高松勇さん(医療問題研究会、小児科医)は「甲状腺がんは桁違いの多発であり、もはや揺るがない事実。死産や新生児死亡、急性心疾患での死亡の増加など多様な健康障害が起きている」として「被ばく軽減策としての避難、保養、食の安全が必要。今も福島は避難が必要な地域であり、帰還政策は撤回されるべき」と結論づけた。

 公聴会はうつくしま☆ふくしまin京都、原発賠償訴訟京都原告団を支援する会、放射能健康診断100万人署名運動推進京都実行委員会の共催で開かれた。

 主催者を代表して奥森祥陽さんは「『一人も路頭に迷わせない』を合言葉に、絶対に譲らずに取り組む」と決意を述べ、今後の方針を提起した。

◆「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の2017年3月末解除方針の撤回を求める。
◆「避難用住宅の提供打ち切り撤回と避難用住宅の長期無償提供を求める署名」「避難先にとどまる原発事故避難者の住まいの安定を求める署名」を大きく広げる。復興庁・内閣府・福島県交渉、院内集会に取り組む。
◆要望書を確立して、政府・福島県・避難先自治体への要請行動を行う。
by fukushimakyoto | 2015-11-06 00:00 | 報道関連